Thanks! 10th ANNIVERSARY  特別企画
第二百二十八話(まこと篇-8)

やがてはるかが切り出した。

「手紙ね、すごく嬉しかった。
はるかって、そうやってあたしに呼びかけてくれる人がまだいるんだって、少し涙ぐんじゃうくらい。
すぐにリアクションしなくてごめんね。
ちょっといろいろ予想外に取り込んじゃってて、なかなか手がつけられなかったの」

そんなことはどうでもいいよ。
声に出さずにまことは胸の中だけで考えた。
改めて今自分は彼女の声を聞いているのだと思えばそれで十分だった。

「それにやっぱり、どう答えていいのか、あたしにもすぐにはわからなかったんだ」

少しだけはるかの声音が低くなった気がした。
まことはかすかに怯えて身構えた。
だがはるかはすぐに結論を続けることはしなかった。

「何だかね、ずっといろいろなこと思い出してたわ。
あれから八年も経ったなんて嘘みたいっいて思いながら」

うん、とまことは頷いた。
はるかが息を飲んだ気配が伝わってきた。

「ねえまこと、会いたいよ。
会ってちゃんと貴女と話がしたい。
あたしの気持ちもちゃんと説明したい。
電話とか手紙とかじゃ絶対いや」

今度はまことの方がすぐには答えを見つけられなかった。
期待した自分を少しだけ哀れにも思った。
でもまだはるかは何も決定的なことは口にしてはいないのだと、必死でそう思いなおそうと試みた。

「あたし、あの時貴女にひどいこといったわ。
それもちゃんと謝りたいの」

黙ったままでいるとはるかが続けた。
慌ててまことは口を開いた。

「あれはでもしょうがないよ。
たぶんあたしの方が悪かったんだ」

どこかに隙ができてたから哲平にあんなことをさせてしまった。
よりによってあんな最悪のタイミングで。
そう思ったけれどこれは声には出さなかった。
そんなことはしなくてもはるかにはちゃんと伝わっているはずだった。

「だけどそれであたし、結局まことの人生をめちゃくちゃにしちゃった」

そういったはるかの声が少しだけかすれていた。
まことは慌てて勢い込んだ。

「違うって。
あたしが自分で選んじゃっただけだよ。
何も考えずに流されちゃっただけなんだから、はるかが責任感じることなんてちっともないって」

少し間があって、ありがとうと小さな返事が返ってきた。

「でもね、それだけじゃなかったのよ。
あたし、一人だと全然駄目だ。
自分ではもうちょっとましだと思ってたのに」

どういうこと? 
まことが訊き返すと、相手は一瞬躊躇して、それはまた、時間のある時にちゃんと話すわ、と答えた。
再び短い沈黙があった。

「あのねまこと、ひょっとすると今がそうかもしれないの」

え、とまことはまた訊き返した。

「貴女、手紙に書いてくれたじゃない。
あたしが崩れそうな時は飛んでくるって。
必ず支えてくれるって」

いつのまにはるかの声が震え出していた。
受話器の向こうで相手はたぶん泣いていた。
そう気づいただけでたちまちいたたまれないような思いが爪先まで駆け抜けた。

「どうしたの? 何があったの、はるか、大丈夫?」

うん、と洟をすするような音が耳元に響いた。
まことはさらに繰り返してはるかの名を呼んだ。

「お願いまこと、今すぐにここにきて、帰ってきて」

はるかはもうすっかり涙声だった。
目を閉じて弱々しく首を振る彼女の顔が見えるようだった。


[第二百二十七話(まこと篇-8)] [第二百二十九話(まこと篇-8)]

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# by takuyaasakura | 2008-11-13 10:50 | 第二百二十八話(まこと篇-8) | Comments(0)
第二百二十七話(まこと篇-8)

聞かされた話を母の生い立ちと結びつけることは容易だった。
もちろんまこと自身が中身を断片的にしか知らないせいもあったには違いなかった。
そんなことを口にしようかどうしようか迷っているうち、ふと先生と目が合った。
先生の顔は何もいうなといっているようにも見えた。
頷いて従った。

そういう訳だ。
だから居たいだけ居てかまわんぞ。
お前一人の食い扶持などどうせ大したことはない。
十分こき使ってるしな。
先生はそこで膝を持ち上げ立ち上がりかけた。
けれどふと眉を曲げ、それから一言だけ付け足した。
だがもし居たい場所がほかにあるなら、それは自分で考えて自分で決めろ。
そして先生はまことの反応も確かめずに席を立つと、わしはもう寝るからな、と手を上げて部屋を出て行った。
まこともただ、おやすみなさいとだけ頭を下げた。

それからしばらく先生が窯にこもっている間にはるかからの最初の返事が届いた。
まことは一人の部屋で貪るようにして読んだ。
彼女の母の死はたとえようもないほどショックだった。
心の底から不義理を詫びた。
それでもはるかの文章に哲平の影が感じられなかったことには正直胸をなでおろしもした。
他の相手の存在は、決して長くはないその手紙からだけでは十分には読み取れなかった。
一方ではるかが今は保育士になっていると知り、男性の少ない、あるいはゼロでも決しておかしくはない職場であることに後ろめたい喜びも感じた。
そんな自分は冷静にみると滑稽でさえあったけれど、それでかまわないと思っていた。
何よりもはるかの筆跡を見ているだけで幸福な気持ちになれた。
改めて、自分は本当に彼女が好きなんだと思いなおした。

そしてまことは二通目の手紙を書いた。
どれほど長くなっても想いのすべてをきちんと言葉にしようと努めた。
あのトラックを降りてからの、自分でも忘れてしまいたいような日々のこともできるだけ隠さずに文字にした。
そして未だに消えていない彼女への思いを綴った。

便箋はすぐかなりの枚数になってしまった。
折りたたむと端が乱れ、それを無理やり飲み込ませると封筒はいかにも苦しそうに膨らんで、封をされることにさえ激しく抵抗して寄越した。
仕方なく、剥がれたりしてしまわないよう念入りに糊を確かめた。
前の時と同じようにポストの前で躊躇して、結局目をつぶって封筒から手を離した。
重い手紙が袋の底に落ちる鈍い音を聞いた。
細かな雨が降りしきる夕方のことだった。
そうして、梅雨空を恨めしく見上げながらまことは待った。
ほどなく天気予報がこの辺りの梅雨明けを宣言した。
一両日中には夏の暑さが全国をおおうだろうとのことだった。

電話が鳴ったのはお昼過ぎだった。
昼食を終えた先生はまたすぐに作業場へと戻ってしまい、まことは母屋に一人きりでいた。
三つ目の呼び出し音で受話器を取り、もしもし、梅津です、と先生の名字を口にした。
すると向こう側の電話口が一瞬だけ沈黙した。

「まことなの?」

予感がなかったといったら嘘だった。
それでも耳に飛び込んで来たその声にいきなり心臓が大きく一つ打った。
忘れるはずがなかった。
忘れたことなど一度もなかった。

「はるか―」

まことがいとおしくその名を口にすると、回線の先の相手が、本当にまことなのね? と念を押すように繰り返した。

「うん、あたし」

でもたったそれだけの言葉が上手く声にならなかった。
懐かしくて、そして同時にどうにも照れ臭い気持ちが温かく胸を満たしていた。

「電話、ずいぶん遠いね」

はるかの声が続いた。
うん、そこからここまで結構遠いから。
まことが答えると、それからまたしばし沈黙だけが回線に乗った。
あのね、と同時に切り出して、あ、ごめんとまた二人一緒に口にした。
それだけのことがたまらなくどこかをくすぐった。


[第二百二十六話(まこと篇-8)] [第二百二十八話(まこと篇-8)]

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# by takuyaasakura | 2008-11-12 10:12 | 第二百二十七話(まこと篇-8) | Comments(0)
第二百二十六話(まこと篇-8)

もしはるかの身に何かあったらきっと自分は我が身を切られるような思いを抱くに違いない。
そして声を上げ、激しく首を振りながらその場に泣き崩れるのだろう。

―ちょうどあの部屋での最後の場面の母のように。

すべてが手遅れになってしまわないうちに。
そう思ってまことははるかへ宛てた一通目の手紙を書いた。
もしたとえばすでにはるかが結婚などしていたらすぐ諦めてしまえるように、注意深く言葉を選び最小限の内容しか綴らなかった。
電話番号すら記してしまうことを躊躇った。
もし電話口で、たとえば婚約を報告する彼女のはしゃいだ声などを聞かされてしまったら、自分にはとても耐えられないと思っていた。
ことはるかに関してだけはそれほどまでに臆病になってしまう自分の心が不思議なほどおかしく、片隅ではまだそんなかわいいところがあたしにもあったんだなとさえ考えた。

それでもポストに投函する瞬間には多少の勇気が要った。
封筒が四角い口の中に消えた瞬間にはもう取り戻したいとさえ思っていた。
農道の道端の真っ赤な箱の前で途方にくれたたずんだ自分の姿を、きっとどこからか、名も知らぬ鳥たちが見下ろして笑っていたに違いなかった。

そうやってしばらくはるかの返事を心待ちにしている間のことだった。
食事の合間に少しだけ先生と話をする機会があった。
最初の話題がどんなものだったかはもうよくは覚えてはいない。
でも話が流れていくうちに自分はふとこんなことを切り出していた。

あたしは産まれた時からずっと、自分の居場所がよくわからないままなんです。
物心つくかつかないかのうちからあたしはもう、母には邪魔にされていましたから。
だからどこにいても、本当に自分がここにいていいのかどうかずっと不安なままなんです。
その思いは決して消えたことがない。
それどころか、自分というものがこの体にいてもいいのかどうかさえ、時にわからなくなることがあるんです。

先生はふうん、と鼻息で答えたきりすぐには言葉をくれなかった。
そのまま味噌汁を口に運び、相変わらずだな、とだけ呟いた。
それはでも、いつもよりどこか少しだけ意味が違っているようにも聞こえた。
居場所なんてものは自分で決めるもんだ。
それ以外にどうやってわかる。
少しの間をおいて先生がぼそりとそういった。

まことは箸を置き先生を見た。
先生は下を向いたまま続けた。
わしはな、若い頃にこの土のそばが自分の居場所だと決めた。
若いといっても今のお前よりはもっと年がいっていた。
お前には想像もつかんかもしれんがな、これでもそこに至るまではいろいろなことがあった。
それでもな、その時にもうその決意を疑うことだけは絶対に止めようと思った。
だから今のわしがある。
それだけのことだ。
誰に言われた訳でもない。
誰に許された訳でもない。
ただ見えない縁があっただけだ。
だがお前にはここも自分の居場所だとは思えない。
そういうことなんだろうな。
そこで先生が目を上げた。
一瞬だけ頷きかけ、慌ててすぐ、まだよくわかりませんと繕った。
けれど先生は何も答えなかった。

しばらくまた二人で静かに箸を動かした。
おかわり、と先生の声がして、目を上げるとご飯茶碗ではなく、お味噌汁のお椀が差し出されていた。
まことははいと立ち上がって居間と台所を往復した。
鍋に火を入れなおしたので少しだけ時間がかかった。
先生、あの時どうしてあたしに声をかけてくれたんですか。
お椀を渡しながらまことは思わずそんなことを口にしていた。
先生が目を上げて膝を折る自分の動きを追っていた。
それから相手はかすかに唇を尖らせたあと口を開いた。
まあ、寿司屋には時折気紛れに神様が通りかかるもんだろう。
なんですか、それ。
まことが訊き返すと先生は、なんだお前、本ばかり読んでいるかと思ったのに、志賀直哉も知らんのか、と顔をしかめた。
小説はほとんど手を出したことがないんです、と仕方なくまことは頭を掻いた。
でも、先生が神様なんですか。
そんなの気取るなんて、らしくないです。
まことがいうと先生は寄せていた眉を一層難しく曲げ、まあ確かに人には神様を名乗る資格はないからな、と真面目な声で呟いた。

ご馳走様、と手を合わせ先生が箸を置いた。
けれどこの日はめずらしくすぐには席を立たず、心なしか背筋を持ち上げると腕組みをしてまことを見据えた。
もうずいぶん昔のことになる。
まだ二十歳にもなるかどうかという若造だった頃、わしは女を一人妊娠させてしまった。
年上の未亡人でな、若かったわしが夢中になって夜這いをかけた末の顛末だった。
だからいわゆる普通の男女の付き合いというのとはな、正直ちょっと違っていたんだ。
それでもまあ、その子がわしの種だったろうことはおそらくほぼ間違いがない。
それは今でも信じておる。
だがわしはな、結局そいつから逃げ出したんだ。
俺の子かどうかもわからんだろうとひどい言葉を投げつけて、しまいには家も町も捨てた。
こんなところでそんなものにしばりつけられて、そのまま一生を決められてしまう訳には絶対いかないと考えていた。

だがやがて後悔に苛まれるようになった。
まったくどこにでもありそうな話だ。
だが故郷に帰ってみると女はどこへともなく消えていた。
どうにかその女を探し出したのは十年以上も過ぎてからのことだった。
わしは相手に問い質した。
あの時の子供はどうしたのか、と。
しかし相手はなかなか答えてくれようとはしなかった。
あんたいったいどの面下げてあたしにそんなこと聞けるのさ。
そんなことをいわれたよ。
まあもっともなことだな。
もうわかるだろう? まこと。
お前の顔はな、若い頃のその女にそっくりなんだ。
初めて見かけた時には驚いたもんだよ。
だがなあ、お前が本当にわしの孫だなどとはもうこれっぽっちも思ってはおらん。
実際その時の子が男か女かさえわしは知らんし、そもそもあいつが産んだのかどうかもついに聞き出すことができなかった。
だから確かに気紛れみたいなものなんだ。
それでもまあ、あの世に行く前に一つぐらい何かいいことをしておいてもバチは当たらんだろうと思った。
何よりあの頃のお前は死人みたいな顔しとったからな。
近頃は多少はましにもなったが、ここではその程度が精一杯なのかもしれんな。
先生はそういうと一人で苦笑した。


[第二百二十五話(まこと篇-8)] [第二百二十七話(まこと篇-8)]

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# by takuyaasakura | 2008-11-11 11:34 | 第二百二十六話(まこと篇-8) | Comments(0)
第二百二十五話(まこと篇-8)

戻ってきても先生は何も訊かなかった。
まことも何も話さなかった。
当たり前のような顔をして以前と同じ穏やかな日常が再開した。
土を干し、砕き、ふるいにかけ袋に詰めて倉庫にしまった。
洗濯をこなし食事を作り、家中を雑巾で拭いて回った。
けれど何をしていても、気を抜くと母との面会の一部始終が思い出されて仕方がなかった。
それはもう一度だけ母の刑務所に電話をかけあの日の同席者の名前を確かめて、その彼女宛てに現金書留を送ってしまってからも変わらなかった。
そのわだかまりの正体がなんなのか、幾度も突き詰めようとしてはみた。
けれど結局はよくわからないままだった。

ただそんな考えごとばかりの毎日はいつのまに違う出口へとまことを導いていた。
人を好きになるということ。
愛するということ。
それはいったいどういうことなのか。
ありえない仁村との未来を口にした母の表情が浮かぶたび、否応なくそんなことを考えざるを得なくなっていた。
あの時の母の顔を目にした際にまことの頭に浮かびかけた幻は、いつかの夜、哲平との二人きりの場面を思い描いていたはるかが見せていた顔つきだった。
そしてその同じ表情は、そのはるかとの叶わない再会を想像する自分の顔にも間違いなく浮かんでいるはずのものに違いなかった。

けれどその三つが同じものなのだとはすぐには認めたくなかった。
むしろどの二つもそれぞれ全然違うものだと思いたかった。
だがそこに現れているだろうものは三つともすべて、そうしようと思えば同じ名前で表現できてしまう種類の感情であることには、やはり疑いようがなかった。
そしてそのことがどうにもやるせなくて仕方がなかった。

愛、好意、憧れ、憧憬。
どう呼ぼうとおそらく大差はないに違いない。

数え切れない中からただ一人だけを特別だと選び出し、その相手との距離を極限にまで縮めたいという気持ち。
目に映るもの、聞こえるもの、触れるもののすべてに同じ気持ちを抱きたいというような思い。
たぶん人は、いつの時代にかそれを愛と呼ぶことに決めたのだろう。

でもそんなことを考えているうちにふと気づきかされた事実があった。
それは、この自分にも誰かとの距離がほとんどゼロだった経験があるはずだということだった。
いうまでもなくそれは母親の胎内にいた時期のことだ。

その時間、まだあたしでさえなかったあたしは外気の存在すら知らず、それどころか自分自身の存在さえはっきりとは自覚できぬままに、ただ暖かな水に全身を包まれていたのに違いない。
血液も栄養も体温も、そればかりでなく肉体そのものさえ、その場所では母親という名前の他者と共有されていた。
でもはたしてその時あたしは本当にそこにいたのだろうか。
もしいたとしたらその始まりはいったいどこだったのだろう。
考えても答えなどわかるはずないと知りながら、まことは幾度も繰り返しそんな疑問を脳裏に甦らせた。振り切ることができなかった。

この世に放り出されたことが苦しくて、悲しくて、だから産まれた途端に赤児は泣き声を上げるのだと、どこかで読んだ記憶があった。
でもそんなふうに完璧に守られて、いわば愛情の正体とでもいうようなものに満たされていた状態を突然失ったのだとしたら、そして赤児自身が私たちがすっかり忘れてしまっているようなやり方でそれを認識していたのだとしたら、彼らが悲鳴を上げるのも無理もないことだと思われた。
そして唐突に一人になってしまった彼らは無心のまま母親の乳房を口に含む。
外部から自分の肉体の維持に必要な栄養を得る、そういう経験をまず与えられる。
それは彼らにとってまさに字義通り生まれて初めての快感となる。
最初の不安がそうやって打ち消されていく。
その記憶はたぶん、普通なら誰の脳裏にも、本人さえ知らぬ間にしっかりと刻みこまれているものなのだろう。

―だが母は、あるいはそうではなかったのかもしれない。

産まれたばかりの母が、いつ、どのようにして彼女の母親に見捨てられたのか。
それはもうたぶん誰にもわからない。
もちろん母自身が記憶しているはずもない。
まことの祖母に当たる、母を産み落とした当人以外は知りようもない種類のことだ。
そしてまた、その出来事が母という人間をある意味で決定づけてしまったこともやはり否めないのだろう。
確かにそれは母の責任ではなかった。
だが同時に、その責めを引き受けられる人間が母しかいないこともまた厳然たる事実だった。

その祖母とは違い、そばにいたというのに自分と母との蜜月はつかの間だった。
母はたぶんその時にはもうすでに、いいきってしまうのはさすがに躊躇があるけれど、人の親になる資格を永遠に持てない種類の人間になってしまっていたのだろう。
あるいはそんな素質は、ひょっとすると自分にも受け継がれてしまっているのかもしれなかった。
おそらくはその可能性の方が高かった。

生まれたばかりの母が受けた仕打ち。
そして物心つく前から母が自分にしていただろうもののような扱い。
この世に生を受けてしまったことの不安を打ち消すことができぬまま私たちは大人になった。
負の連鎖は断ち切られることがなかった。
それをどこかで本能的にわかっていたからこそ、あのすさんだ暮らしの間も自分は、執拗に避妊だけは確認していたのだろうとも思われた。

今になってようやくわかる。
幼い頃から自分がずっと求めていたのは、たぶん母親だった。
あの母ではなくもっと母親らしい存在だった。
あの湖畔の家に越してきてまことは隣家の人々に出会った。
生活の中に本当の意味で母以外の存在が入り込んできたのはその時が初めてだった。
手を引かれ、温かな食事を振る舞われ、時に抱き締められさえもした。
はっきりそう思ったかどうかは記憶も定かではないけれど、幼かった自分がはるかの母を見て、その人となりを知って、この人が自分の本当の母親だったらどんなによかっただろうと感じていただろうことは容易に想像できた。

けれどはるかの母は当然はるかのものだった。
だからあたしが彼女の手に入れるためには、あたし自身がはるかになるしかなかった。
たぶんそれが始まりだった。

―そんなふうにしてあたしは、はるかのことを好きになった。

想像がそこに行き着いて、おそらくそれで間違いはないのだろうなと思った。
家を出たあの朝のはるかの言葉にあれほど自分が打ちのめされたのも思い起こせばその証拠のようにも思われた。
でも、今さら理由を見つけられたからといって何も変わりはしなかった。
たとえ最初がどんな理由であったとしても、すでにはるかへの想いはもうまこと自身の一部のようなものだった。


[第二百二十四話(まこと篇-8)] [第二百二十六話(まこと篇-8)]

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# by takuyaasakura | 2008-11-10 11:42 | 第二百二十五話(まこと篇-8) | Comments(0)
第二百二十四話(まこと篇-8)

バスに揺られて駅に着いた。
乗客はまこと一人きりだった。
乗っている間中、停留所を過ぎるごとに挟まれるよく聞き取れないアナウンスが苛立たしくて仕方がなかった。

―あたしはいったい何を期待していたんだろう。

切符を買い、自動でもないのに無人の改札口をくぐってホームへと出た。
時刻表を確かめると生憎前の一本がちょうど出てしまった直後で、次の電車までには四十分近くも間が合った。

だがどこへ行く気にもならなかった。
左右を見渡し椅子を見つけてまことはそこに腰を下ろした。
その一瞬ふと自分の体の重さがはっきりと意識された。
でもその感覚はただ煩わしいだけだった。

ホームにもほかに人影はなかった。
目を上げると架線の上に雀が数羽止まっていた。
その向こうの晴れ渡った空が恨めしくて仕方がなかった。

―何のためにはるばるこんなところまできたんだろう。

ぼんやりとまたそう考えた。
初めから仁村の死を母にぶつけてみたいだけだった。
そのはずだった。
だとしたら目的は十分にはたせたはずなのにとも考えた。
なのに、どんな満足感も自分の胸にはまるで湧いてきてはいなかった。
ひょっとしてあたしはいつか今日の母への仕打ちを後悔したりするのかなとも感じた。
きっとそうなんだろうとも考えた。

自分の顔を見てあの母が泣き崩れるなどとは思ってもいなかった。
よくきてくれたと笑顔になってくれるとさえ考てはいなかったはずだった。
そして物事はほとんど予想通りに進んだ。
でもそんな映像がすぐに浮かぶということは、ひょっとしてあたしは自分でも気づかないうちにどこかでそういう光景を想像していたのかもしれない。
そう思いなおせばまた自ずと、仁村の指輪をわざとらしくひけらかしていた母の表情が浮かんできて救いようのない気持ちになった。

まことは背もたれにすっかり背中を預け、そのまま首も上に向けた。
だが背もたれは頭の重みを受け止めてくれるには丈が足りなかった。
視界に入ってきたホームの天井裏はどこまでも無表情だった。
少し先で屋根を支えている鉄骨がかすかに赤く錆びついていた。

母に面会にいきたいのだと告げると、先生はそうかと静かに頷いてくれた。
それはまるで予定している夕食の献立を報告する時の反応と微塵も変わらないように見えた。
でもそれからすぐ先生は、目の前に広げた新聞に視線を下ろした格好のままではあったけれど、そういうことなら何日留守にしてもかまわないからな、とぼそぼそとした口調で付け足した。
そればかりか出がけには、これで何か差し入れでもしてやるといいと一万円札を二枚渡してさえくれた。
まことは固辞しようとしたのだけれど、先生の方も頑として譲らずに結局は持たされてしまっていた。
財布の中にはその二万円が手付かずのまま残っていた。

ふと刑務官の彼女のことを考えた。
赤の他人だというのにと思えば腹立たしいような気持ちも起きたけれど、でもどこかで自分があの人には適いそうにないと思っていることもまた事実だった。
たぶんあの彼女は本当に強い人なのだろう。
だからあの職務を務め続けることができているに違いない。
母や、でなければ話にでてきた大学教授夫人のような存在が毎日のようにすぐそばにいるという状況は、思い出すだけで、想像するだけで十分辛いものだった。
殴るだけ殴りそのまま自分の膝を枕に眠ってしまった母を見下ろして、いなくなればいいのにと願った遠い日の記憶が甦っていた。

だがその時だった。
不意に母を哀れだと思った。
まるでまだ小さかった指先で膝の上の母の髪をすいていた自分がそう感じていた、その気持ちが向こうから手渡されてきたようにも錯覚された。

ゆっくりと頭を持ち上げてまことは深く息を吸い込み、長い時間をかけて今度はそれを吐き出した。
肺に冷たい外気が触れて、先生の家ほどではないけれど、この界隈の空気も十分に澄んでいるんだなと思われた。
吐息と一緒に胸の中の何かがこぼれだしていったようでもあった。

これで母に煙草を買って差し入れてやってほしい。
帰ったらあの同席してくれた彼女にそう手紙を書いて先生にもらったお金と一緒に送ろうと思った。
絶対忘れないように、そして気が変わらないうちに必ずやってしまおうと決めていた。


[第二百二十三話(まこと篇-8)] [第二百二十五話(まこと篇-8)]

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# by takuyaasakura | 2008-11-07 13:50 | 第二百二十四話(まこと篇-8) | Comments(0)

その日、止まっていたはずの彼女たちの物語が再びそっと動き始めた。
by takuyaasakura
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浅倉卓弥インタビュー[1]
浅倉卓弥インタビュー[2]
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浅倉卓弥より第百五十話に寄せて
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第二百二十八話(まこと篇-8)
第二百二十九話(まこと篇-8)
第二百三十話(終章)
第二百三十一話(終章)
第二百三十二話(終章)
第二百三十三話(終章)
第二百三十四話(終章)
第二百三十五話(終章)
第二百三十六話(終章)
第二百三十七話(終章)
第二百三十八話(終章)
[登場人物]

来生まこと
24歳。小学校時代に母親とともにはるかの隣家へ越して来る。以後は、はるかにとって一番近い存在となったのだけれど、高校卒業を前に家を出て現在は所在不明。

片岡はるか
24歳。教職についていた両親の一人娘で、自身は現在保育士として地元の幼稚園に勤めている。母の死後、二人暮しで衰えた父親の面倒を見ながら日々を送っている。

久住哲平
湖畔の食堂の一人息子。まこととはるかの二つ上で、二人の幼馴染み。現在は自動車修理工で故郷を離れている。



浅倉卓弥
(あさくら たくや)


1966年7月13日北海道札幌生れ。東京大学文学部卒。
2002年『四日間の奇蹟』で第一回『このミステリーがすごい!』大賞金賞を受賞し翌年デビュー。『君の名残を』、『雪の夜話』、『北緯四十三度の神話』、『ライティングデスクの向こう側』、『ビザール・ラヴ・トライアングル』など、次々と話題作を発表する気鋭の若手ベストセラー作家。



[連載小説]
*毎週月~金曜日連載*



[おことわり]

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