Thanks! 10th ANNIVERSARY  特別企画
第二百十八話(まこと篇-8)

「しかしさすがに男が恋しいよ。
自分でするのにも限界があるからね。
知ってるか? こういうとこじゃあさ、ちょっとトイレが長いと放送で呼び出されるんだよ。
ありゃあ結構小っ恥ずかしいもんだね。
でもこちとらだって生身だからこればかっかりはしょうがないやね。
中にゃたまんなくなって女同士でいちゃつき始めるのもいるけどさ、でもさすがのあたしでもあれは気が知れないな」

頬が勝手に強張ってしまうのをまことは必死で押し隠そうとした。
意思に反して浮かび上がってきそうになるはるかの顔を懸命に抑え込み、そのほかの記憶も同じように押し殺してしまおうと足掻いた。
けれど、この部屋にはそんなものは何もないはずなのに、その一瞬あの埃の臭いが鼻をくすぐった気がしていつのまに顔が勝手に俯いていた。

何も変わってはいない。
この母の言葉はいつだって自分を抉るだけだ。
そんなことは最初からわかりきっていたのに。
そう思いながらまことは浅く唇を噛み、そして、ともすればたちまち萎えてしまいそうば気力をどうにか振り絞ってもう一度首を持ち上げた。

「なんでそんなのに耐えてるの?」

「あん?」

母は意外そうな顔をして、それからまた肩をすくめた。

「別に耐えてなんかいないよ。
ここにいりゃあまず何より毎日のご飯の心配をしなくていいからね。
そのうえ気の進まない相手と寝なきゃならないこともない。
楽っちゃ楽だよ」

ねえ、と同意を求めるように母は刑務官に向けて首を傾げて見せた。
だが彼女は気づかなかった振りで応えただけだった。

「あいつのためなんだ」

まことは低く呟いた。
自分でも独り言みたいな声だと思った。
だが母はその一瞬だけ明らかに眉をひそめた。
動揺の証拠のようにも見えた。
その映像が、まるで研ぎ澄まされた針みたいに自分のどこかに刺さるのがわかった。
何が刺激されたのか、まことは思わず勢い込んで続けていた。

「あんな男のどこがよかったのさ。
どうせあれ以来、連絡だってろくに寄越したりもしてないんだろう?」

怯むような表情が母の顔によぎりもしたけれど、相手はすぐそれを繕ってまた鼻から息を吐き出した。
看守さん、あたし煙草が吸いたいな。
ちらりと横を向いた母はまたそう同席の刑務官に言葉をかけたのだけれど、自分のを持ってきてないんだったら我慢しなさいと短く諭されただけだった。
でもさあ、こないだ買わせてもらった分はもうないんだよなあ、と母が恨めしそうに唇を曲げた。
それきりまた少しだけ沈黙があった。
照明の振動音が大きくなった。

「まことあんた今まで何人と寝た?」

いきなり母が切り出した。
不意を突かれて思わず肩が揺れてしまった。

「答えたくない」

目を伏せながら口にした。
それでもあの鼻息のような笑いが耳に届くのを防ぐことはできなかった。

「あんたにわかるかどうかわかんないけどさ、あいつとの時だけはほかの誰とも違ったんだよねえ」

その口調に違和感を覚えて上目遣いに盗み見ると母がかすかに目を細めていた。
昔を懐かしむかのような、穏やかといってかまわないくらいの表情だった。
仁村からの指輪を嬉しそうにかざしていた姿がまた否応なく甦っては消えた。
今さっきあたしに会った時だってそんな顔はしなかったくせに。
止めようと思いながらそう考える自分を抑えることができなかった。

まことはちらりと刑務官を一瞥した。
だが彼女の様子からは何も読み取ることができなかった。
ここで口にしていいものかどうか迷いはしたけれど、それも一瞬のことだった。
今を逃せばその機会はたぶん二度とないはずだった。
作るつもりなどもうなかった。

「あたしはずっと知りたかったんだ。
母さん、本当はやってないんじゃないの」

その一言に眉をひそめたのはだが今度は母ではなく刑務官の方だった。
それでも、この部屋に入ってきてから終始表情を殺したままだった彼女は、やはりこの時も口を開くことはしなかった。

「忘れたね、そんなこと」

母の答えが返ってくるまでの間は中途半端なものだった。
そこにはわずかな躊躇があったようにも思えたし、そんなことはまったくありえないようでもあった。

「殊勝にして早く出てこようとかも、全然思ってないみたいだね」

だがまことが続けた途端だった。
母が突然声を上げて笑い出した。

「看守さん、今の聞いたかい。
殊勝だってよ。
あんたよくそんな難しい言葉覚えたね」

自分以外誰も頬を動かすことすらしていないのに、何がおかしいのか、母は大仰に手を打つことさえしながらひとしきり笑い続け、それから右手で同席者を指差した。

「ちょうどこの前この人にさ、あたしそういわれたばっかりなんだよ。
もう長いんだから多少は殊勝なとこでも見せなさいってさ」

「あたしを捨ててもかまわないって思ったってことだよね」

母の語尾を遮るようにしてまことはさらに噛みついた。
母の笑い声がうつろに小さくなって、やがて消えた。

「ふん、あんただってあの時はもう一人でもなんとかなる年になってはいただろう」

「そんな訳ないでしょう。あたしまだ十二とか十三だったんだよ」

「甘えたこといってるんじゃないよ。
あたしなんかもっと前から自分で稼いでたんだ。
やり方だって教えたろう。
コタツでちょうどこんなふうにしてさ」

いいながら母がテーブルの下で足を伸ばしてきた。
だがその爪先がまことの膝に触れるや否や、気づいた刑務官が、千二百三十七番、と今度こそついに声を発して母に鋭い視線を投げた。
それが今の母の名なのだと理解するまでほんの少しだけ時間が要った。
はいはい、とまた肩をすくめた母がテーブルの上に頬杖をついた。


[第二百十七話(まこと篇-8)]

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# by takuyaasakura | 2008-10-29 11:17 | 第二百十八話(まこと篇-8) | Comments(0)
第二百十七話(まこと篇-8)

ほとんど十年ぶりに会った母にはもう往年の面影はなかった。
長かった髪は短く切り揃えられ、そこかしこに白髪が浮いて見えている。
目尻や小鼻の横には無数の皺が刻まれて、頬はすっかり張りを失っていた。

この人はいったい幾つになったんだろう。
声もかけぬうちにまずそう考えて、そんなことすらきちんと知らない自分に驚くやらあきれるやら、なんだか複雑な気持ちになった。
でもすぐに、そんなのも自分たちらしいかと思いなおした。
おそらくは母の方も、まことが今幾つになったかなどまるで興味など持ってはいないに違いなかった。

ガラス越しの対面を予想していたのだけれど、実際にはそうはならなかった。
指定された時間に刑務所に出向いたまことは、そのまま四畳半にも満たないサイズの、よくテレビドラマで見るような警察の取調べ室とそっくりな一室に通されて、そこでしばらくの間待たされた。
部屋の中央には真四角に近い長方形の机が置かれ、その三方に椅子が据えられていた。
椅子はアルミのパイプ椅子だった。
年代物らしく、くすんだ緑色をしたビニールのクロスがところどころ剥がれかけていた。

まことは入り口に一番近い席を指示されてそこに座っていた。
その位置からは、奥に通じているに違いないもう一つの扉がほぼ真正面に見えていた。
はたしてそれがいったい何と何とを、どことどことを隔てているものなのか。
ちらりとそんなことも考えはしたけれど、上手い答えは見つけられなかった。

ほどなくその扉が開いて刑務官に伴われた母が姿を現した。
その瞬間から互いに視線をぶつけこそしたけれど、母も自分も先に口を開こうとはしなかった。
自分たちのそんな様子に気づいた刑務官が訝しげな目つきで手を眼鏡に運んだ。
彼女の眼鏡は黒縁だった。

母がまことの向かいに、刑務官が最後に一つ残った真ん中の椅子に腰を下ろした。
二人きりになることが規則上できないことは事前に説明を受けていた。
だが母にとっても自分にとっても、むしろその方がいいのかもしれないと、まことはひそかに考えていた。

「なんで今更会いに来た」

だらしなく背もたれに背中を預け、足と一緒に腕も組みながら母が吐き出した。
先に相手の言葉を引き出せたことに少しだけ満足を覚えた。
でもその感情は苦かった。

「嬉しくないんだ」

まことはなお母の目をまっすぐに見返しながら応じた。
母の方も目を逸らすことなどしなかった。

「別に。
お前のことなんかもうすっかり忘れてたよ。
こっちがめずらしく寂しいとか思って手紙なんか出してやってもさ、あんた返事の一つも寄越しやしなかったじゃないか。
まったく恩知らずなやつばっかりだ。あんたも、それにあいつもさ―」

鼻から息を吐き出しながらそういった母は、だがすぐに刑務官ににらみつけられて肩をすくめた。

「母さん、ここでどんな暮らしをしてるの? ちゃんとやってるの?」

「それよりあんたさ、煙草くらい持ってきてないのかい?」

まことの投げた質問には答えずに母はそんなことを訊いてきた。
まことが、あたし吸わないから、と首を横に振ると母は、いつまで経っても気の利かない娘だねえ、とあきれたように両方の眉を持ち上げた。
それから一つ間をおいて少しだけ眉間に皺を寄せた母は、見ての通りだよ、と組んでいた手を解いて体の両脇に奇妙な形に広げて見せた。

「あたしゃここじゃあ一応毒殺魔だからね。
殺人犯ってのはいろんな意味で別格でさ、そのうえもうすっかり古株だしね、結構好きにやらせてもらってるよ。
ただ男っ気だけはきれいさっぱり抜けちまったけどね。
もっとも、こんな年になっちまえばもうあたしを買おうなんていう物好きな客もいないだろうけどさ」

そうなんだ、と相槌を打ったまことに母は鼻で笑って返した。

「まあでも、ひどいもんだよ。
六畳間に八人が布団敷いて寝起きするんだ。
女臭いったらありゃしない。
しかも中には必ず一人はいびきのうるさいやつがいてさ。
時々たまんなくなって枕投げつけてやる。
そうすると決まって喧嘩になって慌てて看守が飛んでくる。
あんたと同じかそれよりちょっと上くらいの若造にさ、あたしゃ毎週にように説教されてるんだよ。
面白いだろ?」

刑務官がそこでまたきっと母をにらんだ。
ほらね、とでもいうように母が目配せを寄越した。
改めて同席者の横顔に目をやると、なるほどあるいは自分とさほど違わない年齢のようにも思われたけれど、はっきりとはわからなかった。

「昼間はだいたいずっとミシン踏んでるよ。
結構いろんなとこに卸してるみたいだから、ひょっとしてあんたもどこかで買ってるかもしれないなとかも思ってたんだけどさ、でもさすがにそういうのは縫ったことないなあ」

母がまたあきれたような顔つきで自分を見下ろした。
まことはいつも先生のところで着ている茶色の作務衣の上下という出で立ちのままこの場所を訪れていた。

「しかし色気のない格好だねえ。
あたしの娘なんだからさ、もうちょっとなんとかならないのかい? 
そうすれば結構高く売れるかもしんないよ」

まことは答えなかった。
自分が何をして生きてきたのか、やはりこの母は薄々勘付いているのかもしれないとだけちらりと片隅で考えた。
そこで母が伸びをするように両肘を後ろに引っ張って首を回した。


[第二百十六話(はるか篇-8)] [第二百十八話(はるか篇-8)]

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# by takuyaasakura | 2008-10-28 12:58 | 第二百十七話(まこと篇-8) | Comments(0)
第二百十六話(はるか篇-8)

リヴィングへ戻りいつもの椅子に腰を下ろした。
夕飯のことを考えなければと思いながらその場所に座ったきりどうにもそれ以上動くことができなくなった。
テレビをつける気さえ起きなかった。
もう何をどう考えていいのかがわからなかった。

原田も園長も、智和君も飯島先生も千秋先生も、なんだかここしばらくのすべてがひどく遠くに思われて仕方がなかった。
自分の妊娠のことさえともすれば現実のような気がしなかった。
手袋の発見が自分の全部を今朝の夢の続きの中へとすっかり誘い込んでしまったかのようだった。

―まことに会いたいと思っていた。
いつのまに会いたくてたまらなくなっていた。

気づくとその気持ちはずっと前からそこにあったようでもあった。
あの朝別れた時から、いやそれよりももっとずっと以前から胸のどこかで眠っていたような気がした。
そして間違いなく眠らせたのは自分だった。

ふとテーブルの隅の郵便物の山に目が止まった。
乱雑に積み上げられた新聞の隙間には封筒の端が幾つかはみ出していた。
ここ数日すっかり整理もせずに溜め込んでしまっていたことを思い出し、そういえばそろそろ新聞も回収日が近かったはずだとカレンダーに目をやって確かめた。
何か作業をしていれば気が紛れることは今朝の一連で十分にわかっていた。
腕を伸ばしてはるかはその紙の山を手元へと引き寄せた。
封書は案の定ほとんどがダイレクトメールと請求書の類だった。
だが中に一つだけ手書きの宛名が見つかった。
大きめの封筒が今にもはちきれそうなほどに膨らんでいた。
裏書を確かめるまでもなかった。
それはまことからの新しい手紙だった。

いったい何日ここに放り出してしまっていたのだろう。
そう訝って消印に目を凝らしたけれど、日付はかすれて読み取れなかった。
まことに申し訳なく思いながらはるかはゆっくりとその封を切った。

『おばさんのこと、知らなくてごめんなさい―』

手紙はまずその一言から始まっていた。
それからまことは、家を出てからの自分の生活を簡潔に、けれど正直に綴っていた。
それは彼女の母親の人生に似ていた。
だがはるかは眉をひそめるよりもむしろ痛みのようなものを感じた。
まことの筆致からも彼女がその時間を悔いていることがひしひしと伝わってきた。
読みすすむうちそれでも今はだいぶ落ち着いた生活ができているらしいと知り、我がことのようにほっとした。
文字はいつしかまことの声になって脳裏に響いた。

『いつだって私は貴女になりたかったの』

耳元で彼女がそうささやいた。

『貴女の肩や腕が手首がどれほど私に美しく見えていたか、貴女にはきっとわからないと思います。
時折貴女が組んだ手を前に差し伸べて小さな伸びをする、ただそれだけの仕草にいつもどぎまぎとなって、あたしはいつだって、その自分の気持ちをどうすればいいのかがわからなくなって途方に暮れていたの。

恋愛感情っていうのかな。
好きとか、憧れる気持ちっていうのは、ひょっとすると自分が絶対なれないものになりたいっていう気持ちに一つの形なのかもしれないと、近頃はそんなふうに考えることがあります。
だから男は女に、女は男に惹かれるんじゃないか。
どう足掻いても自分がなれない存在だから。

でも私にとっては貴女がそうだったの。
ずっと昔から。
きっと初めて会った時から』

気づくといつのまに音のないまことの声に自分の声が重なっていた。
それは不思議な感覚だった。
その文章はまことが自分に向けて書いたものに間違いはないのに、なのにそれはまるではるか自身がまことに話したいと思っている思いを、まことの文字が勝手に言葉にしてくれているかのように錯覚された。

あの子はいつだってあたしの少し先にいる。
興味なんて全然ないみたいな素振りをしながら、本当はあたしのことを全部わかってくれている。
そんなことを考えもした。
まことの手紙は続いた。

『昔から私の心はこの身体を離れたがっていました。
すべてではないにしても、そう望んでいる部分は確実にどこかにあったのだと思います。
その感覚は今になっても消えてはいない。
決して消えようとはしてくれない。
たぶんそれは、決して幸せなものではなかった幼児期の私の生い立ちと無関係ではないのでしょう。

でもね、そんなことはもうどうでもいいの。
もし私に幸福と呼べる時期があったのだとしたら、それは貴女の家で、貴女の家族と暮らした年月でした。
本当は苦しい思いばっかりだったのに、それすら今はたまらなく懐かしく思い出します。

何故苦しかったのか。
あるいは貴女はそう疑問に思うかもしれません。
それはね、もうその頃から私がずっと貴女を好きだったからなの。
その自分をはっきりと自覚していたからなの』

愛しているのに。
あの夜そう泣き出したまことの顔が自ずと浮かんだ。

『どうしてあたしたちは女同士に生まれてきてしまったんだろう。
いえ、何故あたしはこの体に生まれてしまったんだろう。
あの時期の私は日々そんなことばかり考えていたように思います。
もっとも、それは今でもそうなんだけどね。

たぶんそれが苦しくてたまらずに、きっとあの頃の私は自分でも気づかないどこかで、できるならもう逃げ出してしまいたいなどと思っていたのかもしれません。
それに、あんなことをしてしまえばきっと貴女とはもうそのままの関係ではいられないとも思ったし、娘をそんなふうに見ていると知ったらご両親だって絶対、今までと同じように私を受け入れてくれることはないだろうとも考えていました。

だからあの日、私はどうしても帰ることができなくなってしまったんだと思います。
だってね、もしよりによって貴女たちから憎悪みたいなものをぶつけられてしまったら、もしそんなことになったら私はきっと、本当に粉々に壊れていてしまっていたんじゃないかと思うの。
憎み憎まれる関係なんてあの母親とだけでもうたくさんだったのよ。

バカだよね。
そんなはずなんて決してないのに。
貴女もおばさんも絶対そんな人じゃないって、そんなこともう十分わかっていたはずなのに。
でもね、それでもやはり、今でも貴女たちが私のこの気持ちまで全部、受け止めてくれるかっていうと、それは確信は持てないの。
今だってね、好きって文字を書くそのたんびに心臓がばくばくいってるのよ。
笑っていいわよ、はるか。
でもおかしいね。
好きって、女の子って書くんだものね。

いろんなものごとが文字通り私の上を通過していきました。
もう私は九つの女の子でも十六の少女でもありません。
何だかもっと下世話な何かです。
悲しいけれど事実です。
そんな時間の中で一つだけ決して揺るがなかったものが、貴女への想いでした。

ねえはるか、私は今でも貴女が好きです。
大好きです。
貴女の恋人になりたい。
いつまでも手を取り合って生きていたい。
あたしはやっぱり心底そう思っているのよ』

ねえはるか、とまことが自分の名を呼んでくれていた。
恐る恐る、自分の表情を伺いながら。
無性に彼女に会いたいと思った。
昔みたいに手を繋ぎ、あの裏口での時のように彼女をきつく抱きしめて、そして頬ずりしたいと思った。
そうやって、大丈夫だよと安心させてあげたかった。

今度はその先だってかまわなかった。
むしろあの夜一度きりの相手の唇の感触をもう一回確かめたいとさえ感じていた。
自分のその気持ちを初めてはっきりと言葉にして考えた。

いつもいつも誰かと唇を重ねるたびに自分は上の空だった。
比べていたのはあの夜のまことの口づけだった。
そこから迸るようにして伝わってきた何かを思い出しては、それがちっとも感じられないことをどこかで寂しく思っていた。

『厚かましいよな、と自分でも思います。
八年も不義理を重ねて、あまつさえおばさんが亡くなったことさえ知らないで、そのうえでなお、あたしはこんなふうに一方的に自分の気持ちをぶつけるような文章を貴女に向かって書いている。
きっとあたしという人間は、あの母と同じほど恥を知らない人間なのだろうなとも思います』

そんなことないよ。
胸のうちではるかはそっと呟いた。

『でもこれだけは忘れないで。
もし貴女が崩れそうになったらいつだって私が必ず支えてあげる。
どこからだって飛んでいく。
もちろん貴女がそれを許してくれるのなら、だけれど』

いつのまに手が動いて自分の口元をおおっていた。
気がつくと自分は泣き出していた。
何故涙がこぼれるのかわからなかったけれど、その涙は昨夜の涙よりももっともっと温かなものだった。

『ごめんなさいね、こんな手紙を送ってしまって。
返事は正直、ほしいです。
それがどんな答えでも私にとっての一つの区切りにはなるのだろうと思うから。
そしてそれとは関係なく、一度おばさんにお線香を上げには伺いたいと思っています。
やっぱり貴女が許してくれるのなら、という留保はつくけれど。

でもやっぱり怖い。
拒まれて、それでも貴女に会うのは怖いの。
だったらこんな手紙出さなければいいのにね。
ここまで書いた今も、本当にこれを投函できるのかどうか、自分でもまだ少し迷っています』

そこで断ち切られたように終わってしまった手紙の最後には、住所と一緒に十桁の電話番号が丁寧な楷書で記されていた。
はるかは便箋を広げたまま、しばらくその並んだ数字を黙って見つめた。
自分の中に今ふつふつと湧いてきたその想いが本当に確かなものなのか、それをちゃんと見極めたいと考えていた。


[第二百十五話(はるか篇-8)] [第二百十七話(まこと篇-8)]

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# by takuyaasakura | 2008-10-27 11:53 | 第二百十六話(はるか篇-8) | Comments(0)
第二百十五話(はるか篇-8)

「だが今日はお前と話せてよかったよ。
いいたいことが上手く言葉にできたかどうかはよくわからんが、なんだか少しだけ気持ちが軽くなった気がする」

それならよかったけど、とはるかは小さく相槌を打った。
父が再びはるかの背後をずっと遠くまで見渡すような瞳になった。

「たぶん私は初子に謝りたいのだろうね。
今はただ、いつかもう一度母さんと会える日がくることが待ち遠しいんだよ。
あちらへ行ったらその願いは叶うのだろうかとも考える」

「お願いだからそんなこといわないで」

慌ててはるかが反駁すると、父は、いや、済まなかったと照れたように頭に手を運んで見せた。
頬を膨らませて返そうかとも思ったけれど、躊躇いが勝ってできなかった。

「ずいぶん話してしまったな。
さすがに疲れたみたいだよ。
少し眠りたいから、今日はもういい。
お前も自分のことがあるだろう」

促されて壁の時計を見上げると確かにかなりの時間が過ぎていた。
じゃあ帰るねと腰を持ち上げはしたけれど、去りがたくてはるかは少しだけその場に立ったままでいた。
かすかに怪訝な表情を浮かべた父にはるかは慌てて笑みを作った。

「ねえお父さん、退院したらまず何が食べたい? 
あたしなんでも作ってあげるよ」

あたしにできることはたぶんそれくらいなものだ。
そう思いながら言葉をかけると、父は、ありがとう、考えておくよ、と静かに微笑んで手を上げた。

病室を出て二歩ばかり進んだ時だった。
ふと母とのいつかのやりとりの断片が心に浮かんできた。
もしその順番が逆になったら私の方が許さないわよというあの一言だった。
いずれ父も自分を残して逝ってしまうのだ。
考えたくなんて全然ないのに、そんな言葉がどうしても消えてくれなかった。
さっきまでの父の言葉のすべてがまるで遺言みたいに思われてもいた。

思いなおしてみれば、今日に限って父が正気を取り戻してくれたことさえ実は奇跡みたいなものだった。
ひょっとすると母の一部がまだこの病院にいて、あの時だけは十分に伝え切れなかった言葉を父の口を借りてどうにか自分に手渡そうとしてくれたのかもしれない。
そんなことがふと頭をよぎって消えていった。

遅いお昼を病院の食堂で済ませ買い物に寄ってから家に戻るともう夕方が近かった。
折角干した布団が冷えてしまってはとまず大急ぎで取り込んだ。
両腕で抱えると布団からは太陽の匂いがした。
父が今日帰って来られたならばきっと喜んだのにと考えて、少しだけ残念な気持ちになった。

なんだか甘いものが欲しくなって、紅茶を淹れて砂糖をいつもより多めに入れた。
一息つくと自ずと父から聞かされた母の秘密が甦ってきた。
両親にそんな危機的な時期があったことなんて、もちろんまだ十になるかならずだったとはいえ、自分はまるで気づいてさえもいなかった。
でもそれはおそらく二人が、娘の前では決してそういったぎこちなさを表に出すまいと決めて守り通してくれたからに違いなかった。

絵に描いたような幸福な家族だと、どこかでずっとそんなふうに考えていた。
昔から両親のことが誇らしかった。
でもたぶん、完璧な家庭なんて本当はどこにもないんだ。
完璧な人生がありえないのと同じように。
手の中のティーカップの温かさを確かめながらそんなことを考えた。

家族ってなんなんだろう。
夫婦っていったいなんなんだろう。
今あたしが生きていることっていったいなんなんだろう。
現実っていったいなんなんだろう。
正しいとか間違っているとか、それっていったいどういうことなんだろう。
心ってなんなんだろう。体ってなんなんだろう。

―愛っていったいなんなんだろう。
あたしたちっていったいなんなんだろう。

答えのない疑問ばかりが騒がしく脳裏を飛び交った。
確かなものなんてこの世界のどこにもないような気がしていた。
でも同時に、どうにかして何か見つけなければならないとも考えていた。
そうしなければどこへもいけないような気がしていた。
この場所から一歩足りとも踏み出せないような気がしていた。

気づかぬうちに手がお腹の上に降りていた。
そこにいるのが決して自分ではないことだけがいつのまにか鮮明だった。
なんだかいたたまれない気持ちになり、はるかは跳ねるように椅子を離れると小走りで仏間へと向かった。そうして昨夜と同じ笑みのままの母の顔と真正面から向き合った。
ずるいよ、母さん。
あたしにあんなこといったくせに。
自分ばっかり。

―女の子のこと、好きになるなんて。

胸の中でそう文句を呟いた。
幻の母が気まずげに俯いたようにも思われた。
そこでふと、仏壇の横の押入れに未整理のままの母の私物がしまってあることを思い出した。
手をつけなければと思いながらも伸ばし伸ばしにしてしまい結局今に至っていた。
はるかは引き戸を開け、苦心して下の段にしまいこんであった幾つかのダンボールを引っ張り出した。
正直母の相手の顔が見てみたかった。

几帳面な母はダンボールのそれぞれに年代を書きつけていた。
期間はまちまちで、二年だったり三年だったり、長いものでは六年に及んでいる箱もあった。
だが父と結婚する以前の年数が書かれているものは残念ながら見つからなかった。
そこにはっきりと母の決意が感じられもした。

少し考えて、はるかはまずその彼女が死んだと思しき年の含まれている箱を開けてみることにした。
母が父にいった言葉、つまり結婚して以来その相手とは没交渉だったというのはおそらく真実だろうと考えたからだ。
それはつまり、九つのはるかがまことと出会った年だった。
その分の箱は三年分で、問題の年がちょうど真ん中に挟まれていた。

うっすらと積もっていた埃を払い、ガムテープの封を切り、一つ息を飲んでから箱を開けた。
真っ先に目に飛び込んできたのはくすんだ赤い色彩だった。
紺色のアルバムの表紙の上に、それはまるで牡丹の花みたいな形をして乗っかっていた。
初めはそういうデザインなのかとも思ったけれど、それにしては背景から浮き上がり過ぎていた。
目を凝らすとその色彩の正体は子供用の手袋だった。
携帯よりもちょっと大きいくらいのパーツの真ん中に黄色い小鳥のアップリケが縫い付けられていた。
手を伸ばして持ち上げてみると下にもう片方が隠れていた。
二つは一本の赤い糸で結ばれていた。

まず唖然とし、それから懐かしさを感じた。
そして最後には不思議な気持ちになった。
はたして母はどんな思いでこれをこんなところにしまいこんだのだろう。
娘の目から隠してしまいたいと考えたのだろう。
隣に越して来た女の子のお嫁さんになりたいという娘のたわごとを、いったい彼女はどんな思いで聞いていたのだろう。
そこにどんなふうに自分の人生を重ねていたのだろう。
だがもうその答えは永遠に闇の中だった。
そんなことを考えているうちに無意識に右腕が動き手袋を持ち上げて自分の顔の前に運んでいた。
だが十年以上もの間そこで眠っていたに違いないその手袋からは、残念ながら埃の匂いが立ち昇るばかりだった。


[第二百十四話(はるか篇-8)] [第二百十六話(はるか篇-8)]

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# by takuyaasakura | 2008-10-24 14:11 | 第二百十五話(はるか篇-8) | Comments(0)
第二百十四話(はるか篇-8)

「だがな、この話にはもう少し続きがあるんだ」

ふとこぼれた父の言葉がそんなはるかの思考を遮った。
慌てて目の焦点を父に合わせてみたけれど、父は別段何も気にしてはいないようだった。

あるいはその一瞬自分がぼんやりとしていたことにも気づいてはいなかったのかもしれない。

「まことがまだ隣で母親と暮らしていた頃、あの家に出入りしていた男がいただろう。
名はなんといったか忘れてしまったが、まあ目つきのよくない男だったな。
はじめのうちはほとんど顔を合わせることもなかったようだが、やがて初子は、どういう経緯でかその男こそが、かつての恋人の死に責任があるらしいことを知ったんだな。
つまり、彼女の自殺の原因となった借金の相手があの男だったということらしい。

まことの母親の事件が起こったのはたぶんちょうどそんな時期だった。
家にも警察が聞き込みにきたらしいが、はるかは知っているのかな」

いきなり飛んだ話題に戸惑いながらも、いわれてみればそんな記憶もあるような気がしてはるかはぎこちなく頷いた。
父がさらに言葉を継いだ。

「あの人のことだから、たぶん慎重に言葉を選びながらではあったんだろう。
それでも自分が男に抱いていた疑念を口にしないでいることはできなかったのに違いない。

それはたぶん誰にも咎めることのできない種類のことだ。市民の義務を果たすという意味では母さんのしたことはまったく間違ってはいない。
ところが、結果として逮捕され罪に問われたのはまことの母親だった。
母さんにもこれは予想外のことだったんだろう」

父はまた唇を噛むと首を左右に動かして続けた。

「もちろん私には事件の全貌はわからない。
だがおそらく、母さんがあの恋人の自殺の一件を警察に話そうが話すまいが、いずれ結果は変わらなかったのだろうと思うよ。
その意味では母さんにはどこにも負い目など何もないはずだ。
少なくとも私はそう考えている。

だがとりわけあの子に関してだけは、母さんもそう簡単には割り切ることができなかったんだろうね。
あの子の母親を自分が奪ってしまったと、ひょっとするとそんなふうに思い込んでいたのかもしれない。
母さんがまことを引き取るといいだした時も、実は私は決していい顔をしなかった。
だが母さんはこれだけは絶対に譲ろうとはしなかった。

今になってみればね、あるいは同じ男のせいで不幸になった人の思い出が、どんな形でかはわからないけれど、母さんの中であのまことの上に重なっていたのかもしれないとも思うよ。
まあこれはいささか牽強付会に過ぎるかもしれないし、所詮想像の域を出るものではないがね」

それは母に訊いた理由とは違うと思った。
母のその判断にはまことの母への嫉妬みたいなものが紛れこんでいたはずだった。
でもたぶん、そのどちらも決して間違っているわけではないのだろう。
様々な感情が母の中でうごめいて混じり合い一つの結果となって現れたのだ。
そしてそれを決めたのは、おそらくはどうすることが娘に対し胸を張れるかということだったのに違いない。

―でもあたしは、そうは受け取らなかったんだ。

最後の日まことに投げつけた言葉が今更ながら悔やまれた。
一つの部屋でまことと過ごした日々、知らず知らずに積み上がっていた母を取られてしまうような不安を今さらながら自覚した。
気づくと父の声が続いていた。

「だからあの娘があんな形で出て行ってしまったことは、初子の心情を思えばやはり私も残念だった。
しかしまことは今どこでどうしているのだろうな」

そう呟いた父に手紙が来たことを教えようとして、何故だかそれができなかった。
書かれていた住所のほか自分は現在の彼女のことをまだほとんど何も知らないのだと気づいたせいだった。
黙ってしまったはるかに父が顔を向けぎこちな笑顔を見せた。

「しかし母さんという人はまったくしようのない人だったな。
自分に責任のないことまで全部我が事のように背負い込んで、あるいはそうやってあの人は自分の寿命を縮めてしまったんじゃないかな、なんてことも時々考えてしまうんだ」

そこで父は、一つだけ自分に確かめるように頷いた。

「でも私は母さんのそういうところを尊敬していた。
私にはとてもできないと思っていた。
たぶんそんなやり方で、私はあの人を愛していたんだろうな」

そういった父はけれどすぐ、自分の言葉に照れたようにガーゼの下で笑った。

「なあ、はるか」

名を呼ばれ、なあにと静かに顔を上げた。
すっかり嫌なことばかり聞かせてしまって済まなかったね。
そういった父にはるかは慌てて首を振り、話してもらえてよかったと思ってるわと口にした。父がふと遠い目をして言葉を継いだ。

「私たちは二人とも、ずっと子供たちに正解を探すことを教えてきた。
生涯をかけてといっていいのかもしれない。
それが自分の仕事だと信じていたからね」

うん、とはるかは頷いた。

「だけど、それでいいのかしら。
ある時ふと母さんがそんなふうにいったことがある。
ちょうどお前が短大に通っていた時期だったかな。

おそらく母さんは母さんなりに、たぶんまことを引き取った自分の判断やそのほかの様々な過去を悩んでいたのだろうね。
何よりまことがいなくなってから、お前はどこかねじの壊れた人形みたいになっていたからな。母さんもそれをひどく心配していた。

初子が死ぬ間際になってようやく、私にもその彼女の言葉の意味がおぼろげにわかったような気がし始めた。
あの時の私の言葉は、行動は正しかったのか。
そうではないのか。
そんなことばかりずいぶんと考えていたからね。
つまり私も答えを探していた訳だ」

父はそこで言葉を切るとかすかに顎を持ち上げた。

「でも現実のものごとは決してそうではなかった。
正しいはずの判断が違う結果になることもあった。
たとえばほかの全員と同じ答えだからといって、その人にとっては正解ではないという場合だって十分にありうるだろう。
いや、むしろ世の中にはそういったことの方が多いくらいかもしれないんだ。

正解が一つきりしかないという方がむしろおかしいのかもしれないのだよ。
でも我々はたぶん、自分でも気づかぬうちにその考えにすっかり捕らわれてしまっている。
そんなことに私はようやく気づけたんだろうな」

ああ、と思った。
言葉こそ違え、それは病室での母が自分に伝えようとしていたことと同じなのだろうと気がついたからだった。

やっぱりお父さんとお母さん、ちゃんと夫婦だったんじゃない。
そう思った。
父にそれを伝えたいとも考えた。
でもどう言葉にすればいいのかがわからなかった。

「人生というのはまったくもって不思議なものだな」

かすかに首を持ち上げながら父が呟いた。

「本当ね」

はるかもまた宙に目を細めながらそう答えていた。


[第二百十三話(はるか篇-8)] [第二百十五話(はるか篇-8)]

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# by takuyaasakura | 2008-10-23 13:34 | 第二百十四話(はるか篇-8) | Comments(0)

その日、止まっていたはずの彼女たちの物語が再びそっと動き始めた。
by takuyaasakura
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[登場人物]

来生まこと
24歳。小学校時代に母親とともにはるかの隣家へ越して来る。以後は、はるかにとって一番近い存在となったのだけれど、高校卒業を前に家を出て現在は所在不明。

片岡はるか
24歳。教職についていた両親の一人娘で、自身は現在保育士として地元の幼稚園に勤めている。母の死後、二人暮しで衰えた父親の面倒を見ながら日々を送っている。

久住哲平
湖畔の食堂の一人息子。まこととはるかの二つ上で、二人の幼馴染み。現在は自動車修理工で故郷を離れている。



浅倉卓弥
(あさくら たくや)


1966年7月13日北海道札幌生れ。東京大学文学部卒。
2002年『四日間の奇蹟』で第一回『このミステリーがすごい!』大賞金賞を受賞し翌年デビュー。『君の名残を』、『雪の夜話』、『北緯四十三度の神話』、『ライティングデスクの向こう側』、『ビザール・ラヴ・トライアングル』など、次々と話題作を発表する気鋭の若手ベストセラー作家。



[連載小説]
*毎週月~金曜日連載*



[おことわり]

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